2023.02.26 09:28東京古書散歩 2月3日節分の日。上品な初老のご夫婦がご来店。とても本好きのおふたりで、古書店巡りがご趣味だとか。本にもお詳しく、お薦めのご本は? とお尋ねすると、八木沢里志『純喫茶トルンカ』をあげて下さった。東京の下町谷中の路地裏にひっそりと佇む古びた喫茶店を舞台に、そこに集う人々の交流や不思議な縁を描いた心温まる物語。人の優しさに溢れた、読後感のさわやかな作品だそうだ。そんな話をしていたら、そういえば東京の有名な古書街神田神保町にも、おいしいコーヒーを飲ませる老舗の喫茶店がたくさんありますね、と盛り上がった。ただ、名店はいつも長蛇の列で、ビルの地下にある「カフェ・トロワバグ」やパンケーキが人気の「茶房 TAM TAM」に入ったことがあるくらいで「さぼうる」や「さ...
2023.02.10 09:10暮れから年明けの事々 3 阿倍野区では、区内の歴史的建造物、樹木や石碑などの古跡、商店街や老舗の名店など自慢の都市景観資源を「あべのdakara」(あべのの「お宝」)の愛称で呼んでいる。その「あべのdakara」のお散歩マップ配布に因んだ「知られざる阿倍野の魅力と歴史を発見!ふらり街あるき」が昨年12月3日に行われた。当店にもお立ち寄りいただき、久しぶりに賑わった。海外翻訳物のハードボイルドミステリーに造詣が深い案内役の方に当店のラインナップをお褒めいただいたこと、阿倍野区にまつわる文学作品や作家を紹介した自作のZINE『阿倍野文学散歩』が街歩きの趣旨にぴったりだと何冊かお買い上げいただいたことが、大変嬉しかった。古本屋冥利に尽きるというものである。 例によって閑古鳥が喧しく...
2023.02.04 08:22暮れから年明けの事々 2 私の古本活動は、2018年10月にシェア型古書店発祥の店みつばち古書部に参加したことを嚆矢とするが、その頃は文の里商店街にあるみつばち古書部の店頭で、さまざまなイベントが行われていた。そのひとつに、第18回日本ファンタジーノベル大賞受賞作『僕僕先生』シリーズで知られる作家の仁木英之氏を講師に招いて行われたショートショート創作講座があり、早速参加させていただいた。みつばち古書部の部員に加わってまだ間もない頃だったと記憶している。「手元にまとまったお金が入ったら」をテーマにそれぞれがお話をつくって発表し、仁木先生の助言をいただくというワークショップで、参加者はみな初対面ながら楽しいひとときを過ごした。仁木先生の薦めもあって、作品に仕上げて同人誌をつくれた...