近年は気候が激しく、老骨には少々つらい。おおよそは温暖化傾向にあって陽射しは厳しいのだが、この時節にもかかわらず日によって最高気温が16℃ほどということもあり、身体が追いつかない。それでも植物は季節の動きに敏感で、6月に満開になる白合歓が、花をつけた。
そんなある日、小学校の司書の仕事から帰ると、パートナーが右腕を吊って現れた。「ごめん、骨折した」。雨に濡れたウッドデッキで滑って転んで、右手首を骨折したらしい。合歓がちらほらと花をつけはじめた頃、包帯と添え木がとれた。伝達麻酔(腕だけの麻酔)に日帰り手術、抜糸不要の「溶ける糸」と、医療技術の進歩には舌を巻くが、ここからは地味なリハビリが続く。痛みと可動域の戦いである。浮腫んだ右手が痛々しい。
さて、この7月で書店オープン2周年を迎えるに際して、新たに、手つかずだった2階奥の間を借りてカフェスペースを設けることになり、工事が始まった。お客さまに馥郁と香る珈琲を片手にゆっくりと本を選んでいただく場所を設けるのが夢だったので、感慨深いものがある。工期は6月いっぱいの予定だが、進捗状況が思いのほか早いので、オープンは少なくとも2周年には間に合うだろうと思っている。
そんなこんなの事情もあって、共立通のKIKUYA GARDENや当施設1階の「みんなの図書室 ほんむすび」で毎月1回やらせていただいている出張カフェの実施が難しくなり、5月、6月は、地味に古書店のお店番に専念することにしている。きょうもレジカウンターに座って滅多にお越しにならないお客さまを待ちながら、カフェスペース完成の暁には、さてどんな使い方をしようか、と思案しているところである。商店街とか駅近とかビジネス街とか、人の往来の賑やかなところに立地しているわけではないので、ランチや、ちょっと一服していくか、というお客さまはあまりのぞめない。一方で、広々とした公園を一望できるというロケーションは、静かで落ち着いた癒やしの空間を提供できる、という、他にはない当施設の利点にもなっている。そこで、作家を招いてのサイン会や読書会、芸術作品の個展、映像作品の上映会、各種ワークショップやミーティングなどに、ワンドリンクでご利用いただき、ご希望の向きにはお食事もご用意させていただく、といった活動ができないか、と考えている。
でも、週一くらいは、素朴な家庭料理の夕食をご用意してお客さまをお待ちする、といった日を設けてもいいかな、などと夢を膨らませている。ま、どなたもいらっしゃらなければ、ふたりで、公園のそばの静かな空間でゆっくり夕食をとるのも悪くはないね、とパートナーと話し合っている。それには早く右手を治してもらわなければ……。
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