2023.06.26 07:43祖父江孝男 『文化人類学入門』 文化人類学という学問分野がある。「世界のさまざまな民族のもつ文化や社会について比較研究する学問」(本書2p)で、できる限り具体的、実証的にとらえて研究するためにフィールドワーク(実地調査)という方法をとるところに特徴がある。本書はこの文化人類学という学問について、丁寧かつ平易に解説した好著である。人の生物学的形質を主たるテーマとする自然人類学や有史以前を扱う先史考古学など近接する学問との違いや、民族学、民俗学といった概念との関係性を明らかにした上で、研究対象であるヒト(人類)とは何か、文化とは何かについて、手を抜かずにきちんと説明してくれているのが素人には大変ありがたい。冒頭、ヒトが他の動物と決定的に異なる点はどこかを明らかにしていくくだりは実に興味...
2023.06.24 08:09あひる図書館 箱形の本棚を借りて自ら選書した本を売る一箱本棚オーナーが集まって、日替わりで店番をしながら運営する協同運営の古書店が、今、全国に広がりつつある。近年では日本有数の古書の町神田神保町にも複数出現しているらしい。本欄で何度も紹介したように、私の古本活動の原点は、そんな一箱本棚オーナー制発祥の古書店「みつばち古書部」(阿倍野区昭和町)である。下町の商店街にある日替わり店主の小さな古書店から始まった活動が全国に広がりつつあると思うと、みつばち古書部に参加できたことが、何やら誇らしい。私が特段、何かをしたわけではないのだが。 さて、そんな一箱本棚オーナー制度を転用した私設図書館が、最近注目を浴びている。みんなの図書館を約めて「みんとしょ」と呼ぶ。焼津の「さんか...