2024.07.21 11:45珈琲と本 父は喫茶店に行ってたばこを片手に珈琲を飲みながら新聞を読む、というのが大好きで、近所の店に毎日通っていた。ひとりで過ごすのを至福としていたきらいがあり、あまり誰かがついてくるのを好まなかったが、私が幼い頃は(まだ小学校にあがる前だった)、子守も兼ねていたのだろう、たまに連れて行ってくれることがあった。父が美味しそうに飲む得体の知れない飲み物が不思議で、いちど私も珈琲をねだったことがある。父は、自分はフルーツポンチを頼んで面白そうに私を観察していたが、私がひとくち飲んで顔をしかめると、「換えことしようか」。これが私の珈琲の原体験である。以前に本欄で紹介したように、本に導いてくれたのも父だった(「本の思い出1 読書事始め」2023.10.16)。本のお供...